2015/06/18

6月FOMC声明(2015年):市場予想通り利上げはなし、ハト派的内容

6月のFOMC声明が発表されました。

  • さらに労働市場の改善が見られ、インフレが中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利引き上げが適切であると予想。
  • 雇用増加のペースは上がっているが、失業率は安定したまま。
  • 経済活動は緩やかに拡大。
  • 広範な労働市場の指標は労働資源の未活用は幾分なくなったことを示している。
  • FOMCはFF金利の誘導目標を0.0%から0.25%の範囲で維持する期間の決定に関して、2%のインフレと最大雇用の目標に向けて実現かつ予想される進展を評価する。

4月FOMC議事録で、「多くの参加者は6月利上げの可能性が低いと判断」されていたように、6月の利上げはありませんでした。事前の市場予想でも6月利上げ予想はほとんどなく、予想通りでした。

「経済活動は緩やかに拡大」し、「雇用増加のペースは上がって」おり、「広範な労働市場の指標は労働資源の未活用は幾分なくなったことを示している」が、「失業率は安定したまま」である点が不満ということのようですね。直近の5月失業率は5.5%であり、4月の5.4%から0.1ポイント悪化しました。ただ、これは労働参加率が改善したために悪化したとマーケットは悪材料ととりませんでしたが、さらなる改善を確認したいということのようです。たしかに、失業率は2月に5.5%をつけた後は3月5.5%、4月5.4%、5月5.5%とほぼ変わらずな状態です。FRB当局者が一般的に完全雇用とみなす失業率は5.2%~5.5%と言われているそうなので、5.5%はギリギリですが、利上げには5%前半程度はほしいということかもしれません。

今回のFOMC声明では、ほぼ市場予想通りな点が多かったようですが、金利の見通しについては、16年末を1.625%と前回の1.875%から引き下げたことと、2015年GDP見通しを前回の2.3-2.7%から1.8-2.0%に下方修正したことが材料視され、マーケットはハト派的内容と受け止めたようで、発表後ドルは売られました。

しかし、2015年のゼロ金利解除予測は15人、16年は2人と前回と同じになり、2015年末のFF金利見通しも0.625%と前回と同じに据え置いたことで、実はタカ派的な内容であるという解釈もマーケットの一部にはあるようです。


今月はFOMC後にイエレンFRB議長の会見がありました。内容は次の通りです。

  • 雇用のペースは拡大するなど労働市場は改善した。
  • インフレへの下押し圧力は幾分後退した。
  • 利上げは今後の経済データ次第。
  • 初回利上げの重要性を過剰に伝えるべきではない。
  • 労働市場には循環的な弱さが幾分ある。
  • 賃金の伸びは比較的しっかりとしている。
  • FOMCは今年のインフレはかなり低いと予想。
  • 利上げの条件はまだ満たされていない。
  • 毎回の会合で利上げを検討。
  • 進展を示す更なる決定的な証拠を待っている。
  • ドルはおおむね安定したように見える。
  • ほとんどのFOMC参加者が年内利上げを予想していることは明らか。
  • 利上げのタイミングは決まっていない。
  • 年内利上げを正当化する指標が出てくる公算は大きい。
  • 保証はしないが、年内利上げが適切だと予想。
  • ドルは純輸出にマイナスの影響をもたらした。
  • この一年でドルは著しく上昇した。
  • ドル高は経済見通しに影響する一要因。

「利上げは今後の経済データ次第」といつもの原則論を述べており、現在は「利上げの条件はまだ満たされていない」としています。

すでに利上げについてはオープンであり、経済データの条件が整い次第すぐにも上げるが、まだ条件は満たされていないので6月は利上げしなかった。進展を示す更なる決定的な証拠を待っているが、多くのFOMC参加者は年内利上げを予想し、年内中に利上げに足る指標が出てくる公算は大きいということのようです。

年内のFOMCはあと7月・9月・10月・12月とあり、マーケットはFOMC後にイエレンFRB議長の会見がある9月と12月に利上げの可能性があるとの見方が多いようです。

FRBは2%のインフレと最大雇用という2つの目標がありますが、そのうちの一つ最大雇用については、失業率は5.5%まですでに低下し、あとは賃金の伸びなど他の諸条件を満たした上で5%台前半を見たいということではないかと思います。

2%のインフレについては、FRBはPCEコアデフレーターを重視しているという記憶があるのですが、PCEコアデフレーターは12月に1.3を付けた後は3月まで変わらず、4月には1.2に低下しました。最近は失業率とともに順調な改善とは言い難い状況といえそうです。この2点に改善の兆候が見えたときが、利上げへの「決定的な証拠が出た」といえるのかもしれません。