2015/09/18

9月FOMC声明(2015年):利上げは見送り、内容もハト派的に

昨日、9月FOMC声明が発表されました。

  • FOMCはFF金利の誘導目標を0.0%から0.25%の範囲で維持する期間の決定に関して、2%のインフレと最大雇用の目標に向けて実現かつ予想される進展を評価する。
  • いくらかのさらなる労働市場の改善が見られ、インフレが中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利引き上げが適切であると予想。
  • 雇用市場は堅調な雇用増加と失業の減少とともに改善を続けた。
  • 経済活動は緩やかなペースで拡大している。
  • 広範な労働市場の指標は労働資源の未活用が今年初めから減少したことを示している。
  • 将来のインフレを示す市場ベースの指標はさらに低下した。
  • ラッカー・リッチモンド連銀総裁がFF金利の目標範囲の0.25%引き上げが望ましいとして反対。

前回の7月FOMC声明の時点では、9月利上げの可能性が高いという見方が多かったですが、7月FOMC議事録発表後は、中国景気減速懸念に端を発した世界同時株安などマーケットが大荒れになったことをふまえ、混乱した状況下では利上げできないという見方が台頭してきました。さらにその後もマーケットは混乱を続けたため、9月FOMC声明発表前の時点では、マーケットでは利上げ見送り予想が過半数を超える状況になっていました。

一方で、今までのFOMCで強調されてきた経済指標の結果次第ということを考えてみると、8月失業率は完全雇用とみなせる水準である5.1%にまで低下し、非農業部門雇用者数も8月は+20万人台を割りましたが堅調な結果が続き、賃金もゆるやかながら上昇してきたことで、利上げの条件は整っているとして9月利上げ予想も根強くありました。

結果は、9月FOMCでは利上げせず、今後の利上げの具体的なタイミングについても言及はなしということでした。マーケットでは、想像以上にハト派的な内容だったとしてドルは売られたようです。

声明で注目されたのは、「将来のインフレを示す市場ベースの指標はさらに低下した」ということです。FRBは雇用の最大化と物価の安定という2大責務がありますが、雇用は失業率の低下によってある程度目標が達成されつつあるのに対し、インフレについては、目標の+2%に対してFRBが注目するPCEコアデフレーターは7月が+1.2%と前月の+1.3%から低下しました。これまでは労働指標に注目集まっていましたが、インフレ指標にももっと目を向けなければいけないという見方もマーケットにはあるようです。

FOMC声明後には、イエレンFRB議長の会見がありました。内容は次の通りです。

  • 雇用増加のペースは堅調。
  • インフレは目標を下回る水準が続いている。
  • 初回利上げを過剰に重視すべきでない。
  • 賃金は引き続き伸び悩んでいる。
  • インフレは今後数カ月も極めて低い水準。
  • 輸出が抑制される状況が長期化する可能性。
  • 利上げ開始以降も金融政策スタンスは当面かなり緩和的に。
  • さらなる証拠を待つことが適切と判断した。
  • 金融市場はボラティリティが顕著になった。
  • 当局者の大半は引き続き年内利上げを予想。
  • 経済がどのように進展するか極めて不確実。
  • 10月会合、可能性は依然ある。
  • 必要とあれば特別に記者会見設定も可能。
  • ゼロ金利維持の可能性を完全には排除できない。
  • マイナス金利について真剣に検討していない。

7月15日のイエレンFRB議長の議会証言では、「インフレは2%目標に向けて徐々に上昇へ」と楽観的な見通しを述べていましたが、会見では「インフレは目標を下回る水準が続いている」「インフレは今後数か月も極めて低い水準」とハト派的な内容でした。

また、「金融市場はボラティリティが顕著になった」「経済がどのように進展するか極めて不確実」と、マーケットの動向についても注視しており、マーケットが与える米国への影響からくる経済見通しが不確実になっているということが述べられました。これまでは米国の経済指標次第という面が強調されてきたのに対し、マーケットの動向や新興国経済など海外の状況も大きな判断材料になっていることがわかったのが収穫だったという意見もあるようです。

利上げの時期について、9月は見送りになりましたが、なお大半の当局者は年内利上げを予想しているということで、年内は10月と12月のあと2回ありますがどちらかで利上げされる可能性もあるということのようです。10月はFOMC後のイエレンFRB議長の会見が設定されていませんでしたが、「10月会合、可能性は依然ある」「必要とあれば特別に記者会見設定も可能」ということで、当初の会見の有無は利上げに関係ないということのようです。

ちなみに、FOMCが発表した経済・金利見通しによると、2015年のゼロ金利解除予測は13人、16年は3人、17年が1人でした。前回は2015年が15人、16年が2人だったので、予測がやや後退した人がいるということのようです。また、2015年末のFF金利見通しは、0.375%(前回0.625%)に引き下げられました。16年末も1.375%(前回1.625%)に引き下げられました。

9月の利上げは見送られましたが、FOMCの経済・金利見通しの発表によると、依然として年内利上げの可能性が高いということでした。しかし、マーケットでは声明で時期について具体的な言及がなかったことで不透明感が増したという見方が多いようで、今後も利上げ時期を探る動きは続きそうです。