2015/10/09

9月FOMC議事録(2015年)

9月16-17日開催分のFOMC議事録が発表されました。

  • 多くの参加者がドル高は輸出を妨げると認識。
  • 数人の参加者は見通しの下振れリスクを懸念。
  • 多数の参加者は今年中の利上げを予想。
  • 見通しが明らかになるまで待つのが賢明と判断。
  • 数人の参加者は原油価格の影響でインフレ低下のリスクを認識。
  • ほとんどの参加者がインフレは短期的に2%を下回ると予想。

9月FOMC声明発表時では、「将来のインフレを示す市場ベースの指標はさらに低下した」という低インフレの点と、イエレンFRB議長の会見での「金融市場はボラティリティが顕著になった」「経済がどのように進展するか極めて不確実」などのコメントからうかがえる海外市場の混乱が与えるアメリカ経済への悪影響という点に焦点があたりました。

議事録でも、「数人の参加者は原油価格の影響でインフレ低下のリスクを認識」「ほとんどの参加者がインフレは短期的に2%を下回ると予想」と低インフレの懸念が示されました。また、「数人の参加者は見通しの下振れリスクを懸念」と、海外状況の悪化によるアメリカ経済見通しの下振れリスクにもふれ、「見通しが明らかになるまで待つのが賢明と判断」したようです。これまでのFOMCで、利上げの準備は整いつつあるがあともう一歩という認識が示されてきました。そして、関係者らのコメントなどから9月利上げへの地ならしがすすめられてきましたが、直前になって海外市場の混乱という問題が持ち上がりました。そこで、アメリカ経済への影響がどのくらいあるのか見通しが明らかになるまで様子見しようということのようです。

それでもなお、「多数の参加者は今年中の利上げを予想」とあり、年内利上げという当初のFRBの構想は崩れていないということのようです。9月FOMC声明発表後の関係者のコメントをみると、イエレンFRB議長は9月24日に、「利上げのタイミングやペースはどのように見通しが展開するか次第」「今年後半のどこかで利上げが適切となる可能性」「利上げを長く待ち過ぎることはインフレや過度なレバレッジのリスクになる」「戦略は穏やかなペースでの引き締め」「最近の世界経済や金融の進展が政策の方向に著しく影響するとは予想しない」「自分も含めてFOMCの大半のメンバーが2015年の利上げを予想している」「最近のインフレ鈍化は主に特殊で一過性の要因によるとみられる」と、利上げは見通しの変化次第としながらも、「今年後半のどこかで利上げが適切になる可能性」「利上げを長く待ち過ぎることはインフレや過度なレバレッジのリスクになる」などとこれまでと同じ発言内容で、基本的な考え方は変わっていないようでした。

ハト派のダドリー・ニューヨーク連銀総裁も9月28日に、「年後半にFRBは利上げを実行すると予想」「データ次第となることは明らか」「カレンダー上のガイダンスはなく、データ次第となる」「10月のFOMCも利上げ決定の可能性がある会合になる」とイエレンFRB議長に沿った発言をしています。

FOMC投票権を持つ他の連銀総裁では、中道派のロックハート・アトランタ連銀総裁は9月22日に「年内の利上げの可能性を確信し続けている」「利上げのタイミングは非常に近いと感じる」と年内利上げに強い信念を持っているようです。

同じく中道派のウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁は10月8日に、「FRBは2015年に利上げを行うことが正当化されると予想」とコメントし、非農業部門雇用者数が弱い結果に終わった9月雇用統計についても「9月米雇用統計は私の見通しに沿ったもの」と問題視していないようでした。

春先から利上げを主張してきたタカ派のラッカー・リッチモンド連銀総裁も10月1日に、「10月利上げの可能性はある」と利上げの準備が整っていることを示唆していました。

FOMC投票権持ちの連銀総裁の中では唯一、ハト派のエバンス・シカゴ連銀総裁が9月28日に「最善のアプローチは遅い利上げの開始と緩慢な引き締め」「2016年半ばの利上げが適切なタイミング」「早過ぎる利上げの開始は著しいコストになる」と、2016年まで利上げを引き延ばすことを主張していますが、少数派のようです。

マーケットでは、ハト派的な内容の9月FOMC議事録を受けて、年内利上げは後退したという見方が多いようです。ただ、議事録発表後の関係者らのコメントを見ると、9月は一時休止したに過ぎず、年内利上げは既定路線というニュアンスがうかがえ、マーケットのとらえ方とやや温度差が出てきているようです。