2015/10/29

10月FOMC声明(2015年):12月利上げに含み

10月FOMC声明が昨日発表になりました。

  • 経済活動は緩やかなペースで拡大している。
  • いくらかのさらなる労働市場の改善が見られ、インフレが中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利引き上げが適切であると予想。
  • ラッカー・リッチモンド連銀総裁がFF金利の目標範囲の0.25%引き上げが望ましいとして反対。
  • 次回会合で金利引き上げが適切かどうか決定する際に、雇用の最大化と物価上昇率2%という目標に向けた現在の前進ぶりと今後の改善の予測の両方を評価していく。
  • 雇用増加のペースは減速し、失業率は安定したまま。
  • 労働資源の未活用が今年初めから減少している。

最近の米経済指標の結果があまり思わしくないこともあり、マーケットでは10月FOMCでの利上げ予想はほとんどありませんでした。そうした状況の中で、10月FOMCでの金利据え置きは想定内だったといえます。

マーケットでは、年内利上げについての言及があるかどうかに注目が集まっていました。声明では、「いくらかのさらなる労働市場の改善が見られ、インフレが中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利引き上げが適切であると予想」とこれまでと同じ内容で、あくまで経済指標の結果次第という今までのスタンスは変わりませんでした。

一方、「次回会合で金利引き上げが適切かどうか決定する際に、雇用の最大化と物価上昇率2%という目標に向けた現在の前進ぶりと今後の改善の予測の両方を評価していく」と、あえて次回会合のことを取り上げており、これが次回会合=12月FOMCでの利上げの可能性に含みを持たせていると評価する向きが多いようです。

また、9月FOMCで利上げされなかった要因の一つとして言われた、世界経済の減速や世界金融情勢の不安定などの米経済への悪影響についての文言が削除されました。マーケットでは、この点も利上げについてのポジティブ要因ととらえられているようです。

米経済については、「経済活動は緩やかなペースで拡大している」としながらも、「雇用増加のペースは減速し、失業率は安定したまま」と雇用情勢についての評価を引き下げました。

マーケットは年内利上げは難しいとの見方が多かったためか、12月利上げに含みをもたせた10月FOMC声明の内容はタカ派的だったととらえられ、ドル買いで反応したようです。

9月FOMC議事録発表後(10/9~)のFOMC投票権持ちの関係者の発言をまとめてみると、

利上げ積極派
  • ラッカー・リッチモンド連銀総裁(タカ派)「インフレ率は近いうちに2%に戻ると確信している」(10月FOMCでも0.25%の利上げを主張)
  • ロックハート・アトランタ連銀総裁(中道派)「FRBは年内に利上げを行うと改めて表明」
  • ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁(中道派)「近い将来に利上げを開始すると見込む」「少し早く行動した後、徐々に進むことが望ましい」「今後数ヶ月で利上げし経済指標が悪化すれば利下げも可能」

経済情勢次第で利上げ容認派
  • フィッシャー・FRB副議長(ハト派)「利上げや金利の進路は経済の進展次第」「年末までに利上げの目標に達すると9月に予想した」
  • ダドリー・ニューヨーク連銀総裁(ハト派)「12月のFOMCで利上げするかわからない」「見通しが合えば年内利上げが望ましい」

年内利上げ反対派
  • エバンス・シカゴ連銀総裁(ハト派)「依然として2016年半ばの利上げ開始が最善の選択だと考えている」
  • タルーロ・FRB理事(ハト派)「年内利上げは適切ではなく、FRBはインフレ加速の具体的な証拠を待つべき」
  • ブレイナード・FRB理事(ハト派)「FRBは見通しへのリスクが低下するか様子を見る必要がある」(反対というより様子見派)

タカ派・中道派の関係者は利上げ積極派で、利上げの正当性にかなり確信を持っているようです。

逆にハト派の一部の関係者は年内利上げ反対派で、年内利上げは適切ではないという確信があるようです。

意見を表明していない関係者がいるのではっきりとは言えませんが、利上げ積極派と年内利上げ反対派が固定されているとすると、カギを握るのは経済情勢次第で利上げ容認派のようなので、利上げはやはり今後の経済指標次第ということになりそうです。