2015/12/17

12月FOMC声明(2015年):ゼロ金利解除、9年半ぶりの利上げ

12月FOMC声明が昨日発表されました。
7年間続いたゼロ金利を解除し、約9年半ぶりの利上げとなりました。

  • 利上げ後も緩和的なスタンスを維持する。
  • 経済状況はFF金利が緩やかな引き上げのみ正当化すると予想。
  • FF金利は長期的に予想した水準を下回るレベルを維持する可能性。
  • 経済活動は緩やかなペースで拡大している。
  • FF金利の道筋は今後出てくる経済見通し次第。
  • 継続している雇用増や失業率を含め、広範の最近の労働市場データは一段の改善を見せており、労働資源の未活用が今年初めからかなり減少していることを確認。
  • FOMCは経済活動の見通しと労働市場に対するリスクはほぼ均衡していると見続けている。
  • エネルギー価格や非エネルギー輸入価格の下落の影響を一部受けてインフレは2%の長期目標を下回り続けている。

大方の予想通り、政策金利が0~0.25%から0.25~0.5%に引き上げられ、金融政策の正常化へ踏み出しました。決定は全会一致だったそうです。

マーケットでは12月の利上げはすでに織り込み済みで、今後の利上げのペースに関心が移っていました。声明では、「利上げ後も緩和的なスタンスを維持する」「経済状況はFF金利が緩やかな引き上げのみ正当化すると予想」「FF金利は長期的に予想した水準を下回るレベルを維持する可能性」と、今回利上げはしたものの、今後の利上げは急がず緩やかなペースにとどまることを示唆していました。また、「FF金利の道筋は今後出てくる経済見通し次第」とあり、利上げのペースは今まで通りに経済指標次第ということのようです。

FOMCが発表した経済・金利見通しによると、2016年末のFF金利見通しは1.375%に据え置かれました。17年末は2.375%(前回2.625%)に引き下げられました。0.25%ずつ引き上げられるとすると、2016年は4回の利上げがなされるという予想が多いようです。来年は8回のFOMCが予定されていますが、そのうちの4回で利上げということになり、これは緩やかなペースの利上げとしたハト派的な声明文に対してタカ派的な予想だというアナリストの意見も一部にあるようです。

雇用は失業率が5.0%まで低下するなどかなりの改善を見せている一方で、「エネルギー価格や非エネルギー輸入価格の下落の影響を一部受けてインフレは2%の長期目標を下回り続けている」とあるように、インフレ目標にはまだ遠い状況の中にあるので、今後はインフレ指標がより重視されるという見方もあるようです。


FOMC声明後に、イエレンFRB議長の記者会見がありました。内容は次の通りです。

  • FRBの行動は異例の期間の終わりを示す。
  • 労働市場にはさらなる改善の余地がある。
  • 労働市場は明らかに一段の改善を見せている。
  • 5%の失業率は長期的レベルの中央値に近い。
  • 賃金の伸びが持続的に上向くのはまだこれから。
  • 純輸出はドル相場や海外成長に抑制されている。
  • ドル高がインフレ抑制要因となっている面もある。
  • 長期的なインフレ期待は概ね安定している。
  • 労働のたるみの解消がインフレ上昇を支援する。
  • インフレを弱める多くが一時的な要因。
  • 利上げのペースはデータ次第。
  • 成長が予想を下回れば金利は一段と緩やかに上昇する公算。
  • 市場を注意深く観察しており、手段を調整する可能性もある。
  • 緩やかな利上げは機械的で均等なタイミングを意味していない。
  • 私自身はコアインフレは上向くと予想。
  • 賃金上昇加速の初期の兆候が見られる。

「FRBの行動は異例の期間の終わりを示す」というコメントには、7年にも及んだゼロ金利政策を終え、ようやく一区切りついたという気持ちが滲んでいるようにも思います。

労働市場については、改善を見せているもののさらなる改善の余地があり、賃金の伸びが持続的に上向くのはこれからだとしています。労働のたるみが解消することで、インフレ上昇を支援すると述べられ、労働市場の改善→賃金の上昇→インフレ上昇という好循環を期待しているようです。

現在の低インフレについては、インフレを弱める多くが一時的な要因だと見ているようで、今まで同様に、今後のインフレ上昇に楽観的な見通しは変えていないようです。

利上げのペースについては、声明文と同様に経済データ次第とあり、機械的で均等なタイミングを意味していないとのことで、これもこれまで言われてきた通りのことを継続するということのようです。


声明文の内容やイエレンFRB議長の会見の内容はともに概ね予想されていた通りの内容でサプライズはなく、マーケットも大きく荒れることはなかったようです。ただ、声明文では緩やかな利上げペースとある一方で、FOMC金利見通しでは来年は4回程度の利上げが見込まれるという点がややタカ派的だったというマーケットの評価が多いようです。