2016/03/17

3月FOMC声明(2016年):金利引き上げ見通しは年2回に下方修正

3月15~16日開催分のFOMC声明が発表されました。
政策金利は0.25~0.5%に据え置きでした。

  • 経済状況はFF金利が緩やかな引き上げのみ正当化すると予想。
  • 金融政策のスタンスは引き続き緩和的。
  • FF金利の道筋は今後出てくる経済見通し次第。
  • インフレはエネルギー価格下落の一時的な影響で短期的には低いままであるが、中期的には目標の2%まで上昇していくだろう。
  • ここ数カ月の世界経済や金融状況にも関わらず経済活動は緩やかなペースで拡大している。
  • 強い雇用増加を含め、最近の広範の指標は労働市場の更なる強さを示している。
  • インフレの動向を注意深く見守り続ける。
  • 世界経済や金融状況がリスクをもたらし続ける。
  • 投票メンバー10人のうち9人が利上げ見送りに賛成したが、ジョージ・カンザスシティ連銀総裁は反対し0.25%の利上げを提案した。
  • 2016年GDP見通しを2.1-2.3%(前回は2.3-2.5%)、17年は2.0-2.3%(前回は2.0-2.3%)、18年は1.8-2.1%(前回は1.8-2.2%)とした。
  • 2016年末のFF金利見通し(中央値)を0.875%(前回1.375%)に引き下げた。17年末は1.875%(前回2.375%)に引き下げた。

政策金利は大方の市場予想通り0.25~0.5%に据え置きでした。

2016年末のFF金利見通しですが、昨年12月のFOMC声明発表時では1.375%(中央値)で、2016年は4回程度の利上げが見込まれていました。それが今回は0.875%(中央値)に引き下げられ、年2回の利上げ見通しに下方修正されました。すでにマーケットでは、世界経済の減速の影響により年4回の利上げは無理だという見方が大半となっていましたが、マーケット予想とFOMCの見通しの乖離が少なくなった形になりました。ただ、2月雇用統計が市場予想を上回り非常に良かったこと(非農業部門雇用者数+24.2万人、失業率4.9%)や、1月PCEコアデフレータが+1.7%に上昇するなど最近の米経済指標が良好だったことを受けて年3回利上げもありうるかという見方が一部に出てきていたために、3月FOMCのFF金利見通しは若干ハト派的内容と受け止める向きが多いようです。

米経済状況については、「ここ数カ月の世界経済や金融状況にも関わらず経済活動は緩やかなペースで拡大している」「強い雇用増加を含め、最近の広範の指標は労働市場の更なる強さを示している」と、引き続き堅調であるという見方を崩していないようです。

しかし、「世界経済や金融状況がリスクをもたらし続ける」とあるように、リスクは米国外の経済や金融状況であると述べており、今回の金利据え置きや2016年末のFF金利見通しが引き下げられたのは米国外の要因の影響であるということのようです。

ジョージ・カンザスシティ連銀総裁だけが金利据え置きに反対し、0.25%の利上げを提案しましたが、カンザスシティ連銀は前任のホーニグ総裁から続く超タカ派の系譜で、ジョージ総裁は2月の時点で「最近の市場変動は少しも懸念しない」「米経済は追加利上げが正当な好位置にある」と発言しているので、マーケットにとってはそれほどの驚きはなかったようです。


FOMC声明後に、イエレンFRB議長の記者会見がありました。内容は次の通りです。

  • 金融政策の決定は見通しやリスクの評価を反映している。
  • 労働市場は強さを続けている。
  • 賃金は依然として持続的な上昇を見せていない。
  • 適切な政策のもとで緩やかな成長を見込んでいる。
  • 2%のインフレ目標は2-3年で達成へ。
  • コア・インフレの堅調さが持続的かどうかまだ不明。
  • これまでのエネルギー安とドル高がインフレの重しになる可能性。
  • 世界経済がボラティリティを引き起こしていることを懸念。
  • FF金利予測の引き下げは世界の成長見通しを反映。
  • FOMCの金利予測は行動の約束ではない。
  • 4月会合での利上げについて、可能性は残っている。
  • 原油価格が以前の水準に下がるとは予想していない。
  • 中国の景気減速はさほど驚くべきことではない。
  • マイナス金利は積極的に検討していない。

「世界経済がボラティリティを引き起こしていることを懸念」「FF金利予測の引き下げは世界の成長見通しを反映」と、FF金利予測の引き下げは米国外の要因によることが述べられています。

賃金が持続的な上昇を見せていないことを懸念しているようですが、これは2月雇用統計の一時間当たり賃金が前月の修正値25.38$から0.03$低下し25.35$になったことを指しているようです。一時間当たり賃金の低下は、3月FOMCで利上げはないというマーケットの予想の根拠の一部にもなりましたが、今後も注視していく必要があると思われます。

インフレについては、「コア・インフレの堅調さが持続的かどうかまだ不明」としながらも、「2%のインフレ目標は2-3年で達成へ」と楽観的な見通しは変えていないようです。

次の利上げの時期について、イエレンFRB議長の記者会見がない4月のFOMCでも「可能性は残っている」としていますが、FRB議長の記者会見がないFOMCでも利上げはありうるというのは以前から述べられていたことでそれを繰り返しただけと思われます。もちろん4月利上げの可能性はありますが、多くのアナリストはイエレンFRB議長の記者会見のある6月が有力とみているようです。


3月FOMC声明は、2016年末のFF金利見通しが前回の1.375%から0.875%に引き下げられ、年2回の利上げ見通しに下方修正されたことでハト派的だったという評価が多いようです。