2016/07/07

6月FOMC議事録(2016年)

6月14~15日開催分のFOMC議事録が昨日発表されました。

  • ほとんどの参加者が英国民投票が米経済を妨げ、金融市場を混乱させる可能性があると指摘。
  • ほとんどの参加者は雇用統計が労働市場の見通しについての不確実性を増したと判断。
  • 多くの参加者はインフレは2%目標に向かっていると予想したが、その他の参加者はインフレ亢進は減速しており重要な下振れリスクが見られると指摘。
  • 複数の参加者は中国の為替政策や高い水準の債務、その他新興国経済が世界の金融安定に及ぼすリスクが不確実と指摘。
  • 2、3人の参加者が雇用の急速な鈍化や設備投資の弱さ、世界経済や金融の混乱を含めた見通しに下サイドのリスクがあると指摘。

6月FOMC声明では、FF金利見通し(中央値)が2016年末は変化なし(年2回程度)でしたが2017年末・2018年末のFF金利見通しが下方修正され、GDP見通しも2016年・2017年が下方修正されるなどしたために、マーケットはハト派的ととらえました。

一方で、衝撃的なネガティブサプライズになった5月雇用統計については、「労働市場の改善ペースは減速した」としつつも、「経済活動は緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は強くなる見通し」と楽観的な見通しは変わっていませんでした。また、FOMC声明後のイエレンFRB議長の記者会見でも「1、2カ月の統計に過剰反応するべきではない」と5月雇用統計だけで判断せず、複数月のデータで判断するというスタンスでした。これらの点は、内容的にはハト派というよりもタカ派的ともいえると思われます。

6月FOMC議事録では、6月FOMC開催時(6月14~15日)よりも後に行われる英国の国民投票(6月23日)について、事前予想ではEU離脱派と残留派が拮抗していたために、「ほとんどの参加者が英国民投票が米経済を妨げ、金融市場を混乱させる可能性があると指摘」と懸念し、金利据え置きの大きな判断材料となったようです。この点は、6月FOMC声明前の複数の連銀総裁や、声明後の記者会見でイエレンFRB議長が述べていたとおりです。投票結果発表時には、残留派優勢という速報から一転して離脱派勝利の模様とニュースが急展開したために、ポンド安・ユーロ安・株安など世界的にマーケットは大荒れになりました。しかし、英国のEU離脱については、イエレンFRB議長(FOMC投票権有)やフィッシャーFRB副議長(FOMC投票権有)らが Brexit の影響を考える必要があるとしている一方で、ブラード・セントルイス連銀総裁(FOMC投票権有)やウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁(FOMC投票権無)は米国には大きな影響はないとみているようです。

5月雇用統計については、「ほとんどの参加者は雇用統計が労働市場の見通しについての不確実性を増したと判断」とあり、声明よりもハト派的トーンが増しているように思われます。

また、インフレについても、一部の参加者は「インフレ亢進は減速しており重要な下振れリスクが見られると指摘」とあり、インフレ期待が高まらないことを懸念している参加者が複数いるということのようです。これについては、7月5日にダドリー・ニューヨーク連銀総裁(FOMC投票権有)が、「低インフレのためにFOMCは辛抱強く待つことができる」と、7月6日にタルーロFRB理事(FOMC投票権有)が「インフレ上昇を待って様子を見ることがより良い道」「インフレが2%に上昇している証拠が見られない」とインフレ率が上昇するまで利上げを急がないというコメントを述べています。

中国や新興国のリスクや、雇用の急速な鈍化や設備投資の弱さ、世界経済や金融の混乱を含めた見通しに下サイドのリスクがあることを複数の参加者が指摘するなど、議事録の内容は声明よりもハト派的といえると思われます。

7月FOMCは26~27日に開催されますが、マーケットの予想は金利据え置きがほとんどのようです。7月FOMCまでには6月雇用統計が7月8日に発表され、非農業部門雇用者数の伸びはどうなるか、5月分の非農業部門雇用者数が上方修正されるのかという点に注目が集まっています。5月雇用統計の悪化が一時的なものだったのかどうかの判断によって、7月FOMCでの金利予想は変わってくると思われます。