2016/09/22

9月FOMC声明(2016年):金利据え置きも年内利上げに意欲

9月20~21日開催分のFOMC声明が発表されました。
政策金利は、大方の市場予想通り0.25~0.5%に据え置きでした。

  • 景気見通しの短期的なリスクはおおよそ均衡している。
  • 経済状況はFF金利が緩やかな引き上げのみ正当化すると予想。
  • 金融政策のスタンスは引き続き緩和的。
  • FF金利の道筋は今後出てくる経済見通し次第。
  • インフレ指標や世界経済、金融動向を注意深く見守り続ける。
  • 労働市場は引き続き強く、経済活動は今年前半から穏やかなペースで上昇している。
  • 参加者のうちジョージ・カンザスシティ連銀総裁とメスター・クリーブランド連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁は0.50-0.75%への利上げを主張した。
  • 利上げの根拠が強まっているが、目標に向かって進展が続くさらなる証拠を当分の間待つことを決めた。

  • 2016年末のFF金利見通し(中央値):0.625%(前回0.875%)
  • 2017年末のFF金利見通し(中央値):1.125%(前回1.625%)
  • 2018年末のFF金利見通し(中央値):1.875%(前回2.375%)
  • 2019年末のFF金利見通し(中央値):2.625%

  • 2016年GDP見通し:1.7-1.9%(前回1.9-2.0%)
  • 2017年GDP見通し:1.9-2.2%(前回1.9-2.2%)
  • 2018年GDP見通し:1.8-2.1%(前回1.8-2.1%)
  • 2019年GDP見通し:1.7-2.0%

8月終わり頃から9月上旬にかけて、ジャクソンホール公演でイエレンFRB議長が「米利上げの根拠がこの数カ月で強まった」と述べたのをはじめ、FRB関係者らが9月利上げの可能性について言及し、9月利上げの織り込みを狙ったかのような動きがありました。

しかし、その後に発表された米経済指標は、8月小売売上高が前月比-0.3%となったり、8月鉱工業生産が前月比-0.4%まで落ち込むなど芳しくないものが多く続き、マーケットでは9月利上げは難しいという予想に傾いていました。そして、その予想通り9月は金利据え置きという結果でした。

金利据え置きについて、「利上げの根拠が強まっているが、目標に向かって進展が続くさらなる証拠を当分の間待つことを決めた」とあり、強い労働市場など利上げの根拠となりえる指標もあるが、弱含みの指標もあり、さらなる根拠が見れるまで待ちたいということのようです。

「参加者のうちジョージ・カンザスシティ連銀総裁とメスター・クリーブランド連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁は0.50-0.75%への利上げを主張した」とありますが、ジョージ・カンザスシティ連銀総裁は超タカ派で、メスター・クリーブランド連銀総裁もタカ派なので当然だと思われます。ローゼングレン・ボストン連銀総裁はマーケットではハト派と目されていますが、「データ主義だ」と述べていたことがあり、9月9日に「緩やかな金融引き締めを正当化する妥当な根拠がある」「引き締め見送りの過剰な長期化はリスク」と利上げに前向きな発言をしていたので、利上げ主張をしたと思われます。

投票権持ちの他の連銀総裁ではタカ派のブラード・セントルイス連銀総裁がいますが、7月FOMC議事録後の発言ですが「今後2-3年間で利上げは一度のみになるだろう」「金利を動かす適切な時期は良い経済ニュースが伝わったあと」とハト派的な発言をしていたことがあり、スタンスを変えたのかもしれません。

投票権持ちのフィッシャーFRB副議長やダドリー・ニューヨーク連銀総裁、パウエルFRB理事らも利上げに前向きな発言をしていましたが、その後の米経済指標の低調で金利据え置き派に戻ったということのようです。

2016年末のFF金利見通し(中央値)によると、年内に1回程度の利上げを見込んでいるようです。年内は11月と12月にFOMCがありますが、11月(1~2日)は大統領選の直前になるのでないという見方が一般的で、年内利上げがあるとすれば12月という見方がマーケットでは多いようです。


FOMC声明後に行われたイエレンFRB議長の記者会見の内容は次の通りです。

  • 経済成長は上向いているようだ。
  • 利上げの根拠は強まった。
  • 労働市場はしばらく強まると予想。
  • 成長加速と雇用増が利上げの根拠を高める。
  • 更なる進展の証拠を待つことを選んだ。
  • 中立金利は歴史的基準に照らしてかなり低くなった。
  • 米経済について概ね満足している。
  • 経済成長が力強さを増している証拠が見られる。
  • 失業率が変わっていないことは悪いニュースではない。
  • 雇用が増加し新たなリスクがなければ年内1度の利上げに。
  • 利上げが正当化されるか11月の会合で判断する。
  • 利上げのタイミング、様々な選択肢がある。
  • 労働市場の下振れリスクを引き起こすことを回避したい。
  • 18万人の雇用増は堅調だが、長期的に持続不可能。
  • インフレ期待が低下しつつある兆候が見られる。

米経済について、引き続き楽観的な見方を維持しているようです。

しかし、声明にもあったように「更なる進展の証拠を待つことを選んだ」ということのようです。一部弱含みの指標があることを懸念したものと思われます。

2016年末のFF金利見通し(中央値)では、年内1回の利上げを見込んでいることになりますが、イエレンFRB議長も「雇用が増加し新たなリスクがなければ年内1度の利上げに」ということのようです。

利上げのタイミングについて、「利上げが正当化されるか11月の会合で判断する」とありますが、11月の利上げもあるということを示唆している可能性もありますが、すべての会合で利上げの可能性があるという大原則を述べたに過ぎない可能性もあります。前述のように、マーケットでは11月は大統領選の直前になるので無理で、年内利上げがあるとすれば12月という見方が大勢のようです。